フーゾク嬢の結婚
「大変だね」
「はい、まぁ・・・それなりに楽しいこともありますけどね」
「変な客とかこないの?」
「きますよ~それはいっぱい!お客さんみたいなジェントルマンなんて3分の1くらいかなぁ」
「どんな変な人がくるの?」
「うーん、まあ入れ墨だらけのヤクザもフツーにきますけど、ブラジャーしたオッサンとか、アソコにピアスつけまくってる人とか、あとはー・・・足で踏んでくれとかいうドMな人・・・」
「・・・そんな人がいるの?!」
「いますよ~ここにいると、男性不信になりますよ(笑)例えば電車に乗ってるときも、あ~この男の人もスーツを脱いだらただの変態なのかな~なんて想像しちゃったりします。。」
「触ってくる人とかはいないの?」
「います、たくさん。こういう雰囲気だから、悶々とするのもわからんではないけど。胸も下も、さわろうとしてくる人は本当に多い」
「ミナミちゃんはおっぱい大きいよね」
「遺伝だからしかたないですね・・・」
「触りたいって言われたら、触らせるの?」
「チーフに言われたとおり、やんわりと断る。ダメだよって。でも、野獣のようになった男には、もう逆らえない・・・私の力では・・・」

触ることを許してしまう理由はもう一つあった。
悲しいけど、お金のためだ。
この店には指名制というのがある。
気に入った女の子は、次回からはご指名というものでお客さんが来る。
当然指名料というのが女の子に入るし、『安定する』という言い方は変かもしれないけど、顧客がつくようなものだ。
そして、暗黙のうちに他の女の子と見えない競争ってのがある。
他の女の子に客を取られれば、自分の稼ぎはびっくりするほど減る。

だから触らせる。
悲しきかな、これが現実ってものだ。

< 6 / 14 >

この作品をシェア

pagetop