英国紳士と甘いはちみつ同居☆

「ブラフォードさん」

「お久しぶりです、各務(かがみ)さん」

礼儀正しく頭を下げるジンさんの向こうに、人の良さそうな白髪のお爺さんが立っている。
「日本に来てくれるとは。此方でお会いできるのが光栄ですよ」
「此方こそ、英国ではいつも料理を食べに来て頂けて光栄でした。日本でもどうぞ宜しくお願いします」


ジンさんが、控え目で爽やかに笑っている姿を見ると、昨日の私の前での強引な俺様男の影も形も見当たらない。

っく。私には本性を見せてるってことか。

「で、そちらのお嬢さんが、君の――」
各務さんが何か言いかけたけれど、ジンさんは自分の唇に人差し指を立てて『しー』っとお茶目に目配せする。

「まだ今、アプローチ中なんです。警戒心が高い木ぐらいの高い子猫でして。くるみ、この方は買付けで英国に来た際は必ず俺の店に寄ってくれていた大切なゲストの各務さんです」
「初めまして。えっと花田と申します」
「此方はくるみ。俺の未来の花嫁です」
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