わたしのこと、好き?
券売機の前に立った麻生君は、お金を入れて切符を買ったあとわたしの方に振り返った。
「ん。梅沢の分」
「あ、ありがとう。お金渡すね」
「いい。いらねー」
「えっ?いや、さすがにそれは悪いから」
スタスタ歩いて行く麻生君の後を追う。
必死にお金を渡そうとするけれど。
「いいっつってんだろ。しつこい」
「で、でも……」
おごってもらうわけにはいかないし。
だって……わたしたちは付き合ってもいないし。
それに、この関係を友達って呼ぶのも違うと思うから。
きっと……わたしは麻生君の友達にすらなれていない。