わたしのこと、好き?
「別に……いいけど」
そう言った麻生君の顔が心なしか赤くなった気がするのは、夕陽のせいだよね?
麻生君はプイと顔をそらすと、わたしに背を向けた。
無造作にセットされたモカブラウンの髪が風になびいて、カッターシャツがフワッと揺れる。
後ろ姿までもがカッコ良くて、その背中に抱きつきたい衝動に駆られた。
「じゃあな」
「へっ?」
戸惑っていると、麻生君が歩き出して遠ざかって行く。
「あ……は、はいっ!また明日!」
慌てて返事をすると、麻生君は振り返ることなく片手を上げてそのまま角を曲がって見えなくなった。