わたしのこと、好き?
ーーガラッ
教室のドアを開けると、さっきまで騒がしかったざわめきがピタリと止んだ。
その代わりに降り注ぐたくさんの視線。
な、なに……!?
なんなの?
この異様な空気は!
なんだか入り辛くて、そこから一歩も動けなくなった。
なぜか、新田さんは頬を引きつらせてわたしを見ているし。
「ちょっと来い」
「え?」
振り返る間もなく、背後から腕を掴まれ引っ張られる。
あまりにも力強くて、指が食い込んでめちゃくちゃ痛い。
犯人はどうやら麻生君で、モカブラウンの無造作にセットされた髪がふわふわ揺れていた。
な、なに……?
なんで?
どうして?
麻生君はわたしの腕を掴んだまま階段をどんどん上って行く。
たどり着いたのは屋上だった。