わたしのこと、好き?
「いい?今日こそはアドレスを聞くんだよ?」
仁奈がわたしの方に身を乗り出して念押しして来る。
昨日もおとといも同じセリフを言われたっけ。
「うーん。頑張る……」
「はぁ。あのね」
自信なく返事をしたわたしに、仁奈は大げさにため息を吐いた。
「普通のカップルはこんなことで悩まないからね?番号やアドレスだって、何でその時に聞かなかったのよ!」
「……っ」
仁奈の言う通りだ。
わたしだって、まさかこんなことで悩むとは思ってなかった。
わたしと麻生君の関係は、付き合う前と何ひとつ変わっていない。
わたしは未だに授業の合間に盗み見ることしか出来ないし。
これじゃあ、片想いの時と何も変わらないよ。