わたしのこと、好き?
色とりどりの鮮やかな頭髪。
緩く着崩した制服を着る彼らの中でも、ひときわ目を引くのはやっぱり麻生君だ。
わたしの声が届いたのか、麻生君は足を止めて振り返る。
そして、一瞬だけ目を見開いた。
「あ……えっと。よ、良かったら一緒にご飯食べませんか?」
廊下で声をかけたのは間違いだったかもしれない。
行き交う人たちがみんなわたしに注目していて、その視線がめちゃくちゃ痛い。
「なにあの子。痛くない?」
「麻生君に声かけるなんて、身の程知らずもいいとこだよね」
「麻生君はあんたなんか相手にしないっての」
クスクスと女子たちのあざ笑う声が聞こえて、耳を塞ぎたい衝動に駆られた。