彼と私と元カレ
「いや、違う!俺じゃないってー」
「ウソだー紺野くんしかいないじゃん!」
そう言って理沙は紺野にボールを投げる。
「おい、やめろって、俺エースだぞっ」
「うるさーいっ」
二人のやり取りを見て、羽山がため息をつき、カバンを持つ。
「あーぁ、俺先帰ろっかな?」
そして羽山が帰ってしまってから、投げたボールを拾い、二人は再び部室前に来る。
「じゃぁ…部員の人達が?」
「そう、楠木先輩に直接聞きに行って噂広まっただけだよっ」
「本当に?」
「本当だって、俺が喋るヤツに見える?」
「……。」
「悩むなよっ」
「……分かった、もういいよ」
そう言って理沙はボールを入れたカゴを持とうとして、紺野に奪われる。