彼と私と元カレ
「小澤って…先輩のこと、まだ気にしてたりすんの?」
「え…なんで?」
「……なんとなーく?」
「俺は…なるべく先輩の名前出したくないんだ…」
「なんで?」
「小澤に…先輩のこと思い出してほしくないから…」
「……大地?」
紺野の言葉に、羽山が驚く。
大地って…こんなこと、口にするヤツだっけ?
そこまで、小澤のこと…。
羽山が頬を掻いて、ボソッと口を開いた。
「……まいったな」
「え…?なんか言った?」
「いやいや、なんでもっ」
「そうか?」
「じゃぁ、俺も着替えて来るわ」
「おぅ」
「あっ…大地、あんまり考え込み過ぎるなよ?小澤は確実に大地に惹かれて行ってる気がするし」
「あぁ、サンキュ」
「おぅ、じゃぁ」
そして羽山は部室に入って行った。
一人で、夕空を見上げる紺野。
「余裕ねーな…俺…」
紺野はそうボソッと呟いて、小さく息を吐いた。