彼と私と元カレ


「大地っ、俺携帯忘れて…そしたら小澤がドアの前で青ざめた顔で立ってて…」



「俺…どうしたら…」



「なんか、あったのか!?」



「……っ」



「いーから、追いかけろって!」



羽山が紺野の背中を叩く。



「……ねーよ」



「えっ…?」



「俺……行けねーよ…」



「大地…?」



そう言って、紺野は片手で顔を覆った。




学校を出て、夢中でただ走ってきた理沙の足が止まる。



と同時に、涙がポロポロと落ちてきた。



「わけ…分かんない、先輩なんで今更…?紺野くんも先輩の気持ちに気づいてたの…?なんで?」



冷静に考えられないまま、理沙は涙を落としながら家へと歩いた。






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