彼と私と元カレ
すると紺野は顎をクイッとする。
「えっ?なに?」
理沙が紺野の視線の先を見ると、ネット越しに友達の彩が手を振っていた。
「あっ、彩ちゃーん!」
そう言って理沙も彩に手を振る。
「小澤、鍵貸して?俺これ戻しとくから」
「えっ?いーよ…」
「いーって、おまえ早く着替えてこいよ?」
そう言って紺野は鍵を受け取ろうと、理沙に手を差し出す。
紺野の勢いに、理沙はポケットから鍵を出して紺野の手のひらに乗せる。
「じゃぁ…お願いします」
「おぅ」
鍵を受け取って、紺野は用具室へ向かった。
「紺野くんって、なんだかんだ優しい?」
でも、先輩。
もう部のみんなに言っちゃったんだ。
私の心はまだ、整理がついてないのにー…。