彼と私と元カレ
そうボソッと呟いた時、後ろの自販機通りで缶が落ちる音がした。
驚いて後ろを振り返ると。
「…あっ…」
その人物は気まずそうな顔をして、理沙の方に転がってきた缶を拾う。
「悪い…」
「紺野くん…」
そこにいたのは野球部のエース、*紺野大地*だった。
紺野は缶を手にすると、頬をかく。
「き…聞いてた?」
「いや、立ち聞きしてたわけじゃねーよ?けど…」
理沙の顔が青ざめていく。
「……聞いてたんだ?」
「ははっ、手から缶がスベって…」
理沙の口元が引きつったあと、紺野から視線をそらす。