彼と私と元カレ


その視線に理沙が気づく。



「…え、なに?」



「いや…夏休みが始まる前よりかは、少しは元気になったのかなと思って…」



「え…?私?」



「うん、でも触れられたくなかったら悪い」



「あ…ううん」



紺野くん、私のこと気にかけてくれてたんだ…。



「あのね…ありがとう」



「なにが?」



「なんか、あれから紺野くんによく助けてもらってる気がする、あと羽山くんにも」



「あぁ…俺は別に」



「でも…なんか気を使わせちゃってごめんね?」



そう言って理沙が少し眉を下げて笑う。



砂の上に置かれた紺野の手が、ぎゅっと砂を掴む。



「……んなんじゃない」



「え…?」



「…そんなんじゃねーよっ」




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