彼と私と元カレ
独占欲
海水浴の日が楽しかったのも束の間。
野球部は毎年地獄の合宿に入ることになった。
その初日の部活が終わり、更衣室で理沙が携帯をチェックすると、1通メールが届いていた。
「……先輩?」
先輩からは、あれから電話がかかってくることはなかった。
私も出来ないままだった。
中を開くと、"今日部活終わりに正面玄関で待ってる、話したいことがある、待ってるから"
「なんだろう…話したいことって…」
そのことで電話してきたのかな?
けど、私先輩となにを話したら?
ここから合宿所に行くには、正面玄関前を通らなきゃ行けないし、避けられない。
「どうしよう…」
迷った理沙は、携帯を持ったまま廊下に座り込む。
「彩ちゃんはもう帰ったし、羽山くんも紺野くんも、みんな部員は先に合宿所に行ってるはずだし…」