彼と私と元カレ
すると紺野が立ち上がり、理沙に向かって手を差し伸べる。
「えっ…?」
「またつまづくと危ないから、小澤の家まで俺に捕まってて」
「……それって」
もう、帰るってこと…?
足ひねったし、仕方ないよね。
分かってる…。
「……送ってくれるの?」
「うん、当たり前」
「ありがとう…」
紺野の手の上に、理沙は手を乗せ立ち上がる。
紺野くんって、どこまで優しいんだろう?
でも、もうバイバイなんだ、もう…。
2人は手を繋ぎ、ゆっくりと理沙の家に向かって歩き出す。
私、もう分かる…。
"この手、離したくない"
2人はゆっくり歩いてるはずなのに、もう理沙の家が見えていた。
すると紺野がそっと手を離す。
「あっ…」
離れてしまった…紺野くんはすぐ離したかったのかな?
ううん…きっと、私のことを想ってだね?