ゆりかご
「……。」

コータローは、こーゆう、フツーだったら恥ずかしいんじゃないかと思うことを、サラリと言う。

「あ、ありがと…。」

一応お礼を言ってコータローと別れ、改札へ続く階段を上るあたし。

「…。」

あぁゆうヤツだもんね、コータローは。

多分、何の気なしに誰にでもかわいいとか言うんだろう。

改札を抜けホームへと急ぐーーー予想通り1本前の電車に乗れることで、あたしは胸をなで下ろした。

《翔矢、もうすぐ電車乗るね♡》

そして、翔矢にメール。

今頃は部活で汗を流しているのだろうか、翔矢からの返信はなかったけど、それに対する不安はなかった。

だって、これから会うんだから。

制服姿で会うのは初めてだから、少し緊張する。

あたしはセーラー服だから、中学の頃と変わり映えしないけど。

お母さんにも、帰りがいつもより遅くなる事を連絡しておかなきゃ。


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