ゆりかご
ピンポーン……

翔矢の家の前まできて、インターホンを鳴らす。

毎回、この動作が1番緊張するのはあたしだけだろうか、落ち着けないでいた。

少ししてガチャリとドアが開き、

「繭、あがって。」

翔矢が笑顔で招き入れてくれた。

「おじゃまします。」

「先に部屋行ってて、何か持ってくるわ。」

「うん。」

あたしは翔矢に促されるまま、二階にある翔矢の部屋に向かった。

「おじゃましま……あ☆」

言いかけて、口に手のひらをあてた。

2回”おじゃまします”って言ってしまうクセは、まだ直りそうもない。

二階の手前が翔矢の部屋で、悪い意味じゃなくていつも適度に散らかっているーーーそれがあたしにとっては居心地が良かった。


「おまたせ。」

久しぶりに入った翔矢の部屋をぐるりと見渡していたら、翔矢がジュースを持って入ってきた。




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