ゆりかご
「来たよ、ゆうちゃん。」

キーン…コーン…

美羽が指差したのとほぼ同時に予鈴が鳴り、あたし達はそれぞれの席についた。

パタパタと慌てて席につくゆうちゃんの顔は、真顔なんだけどすごく嬉しそうで。

「…。」

コータローのこと、好きなんだろうな…。

そんなことを、想像させる。

ホームルームの時間にメールチェックをするのも日課になりつつあり、あたしはポケットからケータイを取り出した。


《清田さん今日売店行く?》

コータロー…。

「…。」

《今日はお弁当だから行かないよ。》

さっきの話はこれだったのかな。

《リョーカイ。さっきゆうちゃんと一緒に行く約束したから、清田さんも行くかなって思ってメールしたんだ。》

あたしを巻き込まないで…2人で行けばいいでしょ。

雨音が身体の中まで届いているようで、蒸し暑さも手伝って、何だか意味もなくイライラしてきた。


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