ゆりかご
「……。」

あぁ、あたしって…さっきからコータローのことばっかり気にしてない?

コータローのことなんか、別にどうでもいいハズなのに…。

翔矢と雪乃に対する不安から逃れるため、考えない様にするための、現実逃避というヤツなのかも。


「あ、ゆうちゃん!おかえりー。」

ゆうちゃんが売店から戻って来たのを見つけて、愛衣が手を振っていた。

「…ゆうちゃん?」

暗く、どんよりとしたゆうちゃんを見て、あたしは思わず声をかけた。

黙ってイスに座り売店の袋を机に置いてから、ゆうちゃんは口を開いた。


「木村くん……好きな子が、いるんだって。私、どうしよう…。けっこうダメージもらった感じ。」

まぁ、好きな子くらいいても、おかしくはないよね。

「みんな好きな子くらいいるよ。凹むことじゃないって。」

美羽が、あたしの気持ちを代弁するかのように言った。

「その好きな子がゆうちゃんかもよ?てか告ってフラれた訳?」


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