ゆりかご
「ホントついてないよ。先生の手伝いしてる間に雨がやめばいいけど。」

期待できるのは、それだけ。

「だよねー、祈ってるわ。」

「ありがと美羽。」

「じゃぁごめんね、先帰るね。」

「うん、じゃぁね。」

美羽は、少しだけ申し訳なさそうに帰って行った。

だいたい担任の手伝いなんか、5分や10分では終わらない事で有名だ。

あたしは、トイレに寄ってから職員室に向かった。


「…失礼します。」

「お、来たか。これを頼む。」

職員室に入ろうとしたところであたしに気づいた担任が、手招きをしながら言った。

職員室は、いつ来ても落ち着かないーーーあたしは出来るだけ静かに、担任の座る机まで行った。

「このプリントをそれぞれ人数分プラス予備2枚でコピーをとって、教室で2枚1組にして互い違いに重ねて置いといてくれるか。明日配りやすいようにな。」

「…はい。」

短く返事をすると、あたしは受け取った用紙を持って、コピー機の方へ移動した。





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