ゆりかご
「そっか。そーゆう事だったの。それは言えないよね。」

美羽は、ストローでカラカラとアイスティーを混ぜながら言った。

「でもあたし…ゆうちゃんを裏切ってるよね……?」

アイスティーを混ぜる手を止めて、あたしと目を合わせる美羽。

「裏切るか…。難しいね。だって繭子は、言いたくても言えなかったんでしょ。裏切るとは違うんじゃない?」

「…。」

あたしの身体が、少しだけ軽くなったのは気のせいなんかじゃなく、美羽の言葉に、確実に救われたからだと思う。

「言ってあげた方が本人の為ってこともあるけど、知らない方がいいことだってあるから、ホント難しいよ。あたしが繭子でも、ゆうちゃんに言えなかったかもしれないし。」

「美羽…。」

「後ろめたい気持ちはわかるけど、ゆうちゃんってもうコータローのこと好きだろうから…言うなら覚悟しなきゃだし。」

「ぅう…美羽〜…。泣けてきたー、話してよかったよ〜。ありがとー!」



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