ゆりかご
ヤキモチなんて表現では済まない複雑な気持ちに、あたしは後頭部を強く叩かれた気分だった。


気付けば雪乃の家の前まで来ていて、何やら話している様子。

「……。」

あたしは暗くなったのを利用して、できるだけ静かに2人に近付いた。

「…帰りたくないなぁ。」

「じゃぁ明日俺の家に来る?」

「うん…。それより、」

「ん?」

雪乃が一歩、翔矢に近づいた。

「今日もう少し、一緒にいたい。少しだけ…寄ってってくれる?」

雪乃ーーー…。

「雪乃の頼みならしゃーねぇな。」

「やった♪」


玄関のドアが開いて光が漏れた後すぐに暗くなり、そこに独り取り残されたあたし。

何なの……?

翔矢と雪乃と、あたしに…何が起こってるの?

これは…どーゆうこと?


何の為に、2人は同じ時間を過ごすのーーー?



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