ゆりかご
不覚にも、その顔にドキっとしてしまったあたし。

「コータローこそ…大丈夫?あたしが、よそ見…してた、から……。」

「そんな事はどうでもいいよ。何かあったの?」

「……。」

ゆうちゃんと…なんて、そんな事言えない。

「お昼、一緒に食べる?」

コータローはいつもの笑顔に戻っていて、あたしは黙って頷いた。


「いいでしょ、ここ。」

「…。」

途中売店に寄ってお昼ごはんを買ってからコータローと来たのは、体育館とプールの間にあるちょっとしたスペース。

大きくもなく小さくもない倉庫が2つ並んでいて、それがいい感じに日陰を作っていた。

そこに、ゆっくりと腰をおろすコータロー。

「そろそろ髪切るかなー。うっとーしいや。」

売店の袋にゴソゴソと手を突っ込みながら、独り言を言うコータロー。

「清田さんはさ、もう髪の毛伸ばさないの?」

え………?



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