ゆりかご
「あたしね…この学校に、来たかった訳じゃないんだ……。」

「え…?」

なに話してんだろ…あたし。

「ホントは、彼氏と幼なじみの友達と同じ高校に行きたかったの…。それが、あたしだけ志望校に落ちちゃって。」

コータローは空を見上げながら、黙って聞いてくれていた。

あたしもコータローと並んで、空を見上げた。

「前にコータローが言ってた事は、ホントは正解。行きたくもない学校、着たくもない制服、毎日つまんない。電車に乗るのもイヤだし。」

「…。」

「でも、コータローといる時は、そーゆう色んな事…忘れてるかも。」

「そっか…なら良かった。」

不思議ーーー声を聞くだけで、顔を見なくてもコータローの表情が伝わってくる。

「ついでに言うと、コータローのせいでゆうちゃんとケンカ中。」

あたしは、コータローを指差して言った。


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