ゆりかご
翔矢ーーー…。

「…。」

涙がジャマをして、あたしは何も言えなかった。

受け入れられると思っていた別れは、簡単ではないのかもしれない…。

「…清田さんごめんね。」

あたしはコータローに伝わるように、一生懸命首を横に振った。

「でも…。」

コータローの申し訳なさそうな声が聞こえてきて、あたしは更に首を振る。

「あたしの方こそ…ごめん、ね。色々…ちゃんとしない、あたしのせいだから…。」

やっぱり、最終的には、そこだと思う。


「それと、土曜日…ごめんね。行けないから…。」

「うん、わかってるから大丈夫。」

コータローはわずかに笑顔になって、視線を空へ戻した。

あたしはどこを…何を見たらいいのかもわからず、黙ってジュースを飲んだ。


キーン…コーン……

予鈴の音が聞こえてきたけど、まるであたしには関係ないかのように、その音は遠くに感じた。


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