ゆりかご
今日は身体中の水分が蒸発してしまいそうなくらい、とにかく暑かった。


「やっと着いた〜♪」

ウィーン……

愛衣が、先頭切って入っていった。

自動ドアが開き、生温い空気が冷たい空気と混ざる。

愛衣に続く、あたしと美羽。

てか場所的に、ここって…もしかして……。

「あーっ、木村くん!こんなとこでバイトしてんのぉ⁈」

やっぱり…と思うと同時に見たカウンターには、蝶ネクタイをしたコータローと、コータローを指差す愛衣の姿があった。

「美羽…!」

「愛衣が予約してたんだ。まさかコータローがここにいるとは…。まぁいいんじゃない?この前行くって言ったところだし。」

あたしと美羽は、入り口あたりで小声で話していた。

あたしは、良くない。

今1番会いたくない人ってくらい、気まずい気持ちでいっぱいだよ。


「ちょっと2人とも何してんの?早く来てよ!ねえ、木村くんいるよ!」

知ってるし……。




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