ゆりかご
振り返った視線の先にはーーーゆうちゃん…。

「ゆうちゃん…。」

「こんな所で何してんの?」

もう一度、同じ質問を投げかけてきたゆうちゃんの目は、攻撃的だった。

「愛衣を待ってるだけだけど…。」

「…木村くんを見にきたんじゃなくて?」

「何でコータローが出てくるの…?」

図星だったけど、それを悟られないように出来るだけ平静を装うあたし。

「今日、練習してるから。知ってるんでしょ?」

「あたしが知るわけないでしょ。」

こんなやりとりばかり……ゆうちゃんとは、ずっとこのままなのかな。

思えば雪乃とは幼なじみで、これまで築いてきた信頼関係があったーーーあたしとゆうちゃんの間には、それがない。

関係は、一度壊れかけたら、あっという間に壊れてしまう。

「どうでもいいけど、約束は守ってよね。」

「…。」

約束ーーー……。


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