ゆりかご
「でもさ繭子ちゃん、落ち込んでる場合じゃないのよ。落ちたものは落ちたの。今置かれてる環境の中で、精一杯楽しむことを考えなさい。3年間あっという間、もったいないよ。」

「お母さん他人事発言すぎ〜。」

雪乃が申し訳なさそうにこっちを見てきたけど、あたしは雪乃のお母さんの言う通りだと思う…。

「あらそう?お母さんは潔さが大事って言ってんのよ?繭子ちゃんは解るわよね?」

「あ、はい。すごく。」

ただ、あたしが受け入れられていないだけ。

「ホントに?ごめんね繭子。早く食べて部屋に行こ。」

「あはは。大丈夫だって。」

謝らないで…あたしが惨めになるだけだから。

「そうそう、その意気!落ち込んでると楽しい事にも気付けないままだよ。」

雪乃のお母さんは、明るく励ます様な笑顔を向けてくれた。

「ありがとうございます。」

あたしは素直な気持ちから、お礼を言うことができた。

風船は握りしめられたけどーーー破裂しなかった。



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