ゆりかご
ーーー結局よくわからないまま、ケータイ番号の交換をしたあたし達。


「繭子ーっ!ごめんね、ゆうちゃん達と喋ってた。」

美羽がパタパタと小走りで到着した。

「ううん、大丈夫。あたしも話してたから。ねっ。」

そう言って振り向いたけど、そこには誰も居なかったんだ…。

「あれ…?」

「どうしたの?繭子?」

「ううん……。」

コータロー…変なヤツ。

「行こっか。」

あたしは美羽に笑顔を見せて言った。

少しずつ、少しずつでも、ユウウツから抜け出さなきゃ。

外の桜もじきに満開になるーーー取り残されてはいけない。

おいてけぼりじゃ、何も得られないから。

「美羽、今度化粧とか教えて?」

「オッケー☆いつでも言って?」

「ありがとう!」

あたしはいつもよりもしっかりとした足取りで歩いていたーーー…。



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