ゆりかご
「ただいまぁ…。」

美羽とは1時間くらいおしゃべりした後、別々のホームへと別れ、それぞれの帰路についた。

お母さんが晩ごはんの支度をしていて、キッチンからいい匂いがする。

「おかえり!洗濯物持ってってよ?」

「はぁい。」

あたしはリビングに立ち寄り、キレイにたたまれた洗濯物を抱えた。

「繭子、学校どう?」

お母さんに呼び止められて、あたしは身体を向き直した。

「ぼちぼち…かな。友達もできたし。遠くなければいいんだけど。」

「そうよねー。繭子アンタ3年間通うんだから覚悟しなさい(笑)?」

「覚悟って(笑)。」

覚悟、か。

そうだよね…受験に失敗したあたしが悪いんだから、覚悟して通わなきゃね。

そうじゃなきゃ、頑張って働いてるお母さんに悪い。



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