ゆりかご
開け放たれたままの昇降口から風が吹いてきて、スカートと髪を少しだけ揺らしたーーー。

コータローは、本当にあたしを待っていた。

「はぁ…。」

待ってたなんて面と向かって言われたら、少々困惑してしまう。

あたしには待たれる覚えがないからだ。

「メールくれたでしょ?」

その言葉に、思わずコータローを見上げる。

「…ありがとう。」

そう言って、あの、初めて見た時と同じ、ふんわりと可愛い笑顔をあたしに向けたんだ。

「そ、それだけで待ってたの…?」

「何で?おかしい?」

「メール…返してくれれば、それで良かったのに。」

「いや、こーゆうことは、きちんと顔見て言わないと。」

「そ、そぉ?」

コータローは、うんと言う代わりににっこりと笑った。


また、風が吹いてきて……スカートと髪を、少し揺らした。





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