ゆりかご
「わ…すご……。」

コータローの左手首には、時計やチェーンのブレスレット、それからミサンガのようなものが並んでいた。

ゴチャゴチャうるさく感じないのは、コータローのセンスと、引き締まった腕のおかげかな。

「ちなみに首にも。」

そう言って、首にしてるチェーンのネックレスを、指で引っ張り出して見せてくれた。

「陸上部入るとこーゆうのできなくなるじゃん?だから入るのやめたんだよねー。」

「なにそれー。」

「あはは、嘘。ホントはバイトしたいから。」

コータローは、笑った。

「あはは。なにその理由ー。」

つられて、あたしも笑った。

そしてコータローはネックレスをしまいながら、窓の外を見上げた…気がした。


その理由は、本当?


「清田さんさぁ…。」

教室の前でコータローが足を止めた。

「清田さんは入らないの?陸上部。」







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