ゆりかご
「繭子、化粧いい感じだよー。」

パタパタと席につくあたしに、美羽が言った。

「ホント?ありがとー。美羽のおかげだよ。」

そう言ってポケットから取り出したのはケータイ…朝のホームルームなんて退屈なだけなんだもん。


「…。」

メール……コータローからだ。

《教室着いたら囲まれたわ(笑)。彼女か?って。清田さんは大丈夫だった?学校着く前におろせばよかったね。ごめんね。》

周りの勝手な憶測に振り回されなきゃいけないあたし達の気持ち、誰かわかってよ。


《一応大丈夫。あたし彼氏いるし、自転車にはたまたま乗せてもらっただけ、って言っといたよ。》


「……はぁ。」

あたしは周りに聞こえないように、小さくため息をついた。

なんか…淋しいな。つまんないな。

翔矢ーーー…。

映画でも、誘ってみようかな。


「…田。」



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