君と私の秘密の恋
はじまり
1
神さまなんていない。
あの日から、ずっとそう思ってた。
もしいるのなら、教えてほしい。
私はなんのために生きているのか。
もしいるのなら、助けてほしい。
消えない過去を、消えない記憶を消し去って。
そんな事、できるわけないのに。
都合よく記憶なんて消えないし。
震える身体も、止まらない。
そんな事、ずっと前から知っている。
空を見上げ、流れる雲を追いかけながら小さく息を吐いた。
弱い心は、どうしたら強くなるのだろう。
私は逃げた。
弱いから。
現実から逃げて。
殻に閉じこもって隠れて。
そんなことしても、なにも変わりはしないのに。
「梨乃、いたいた」
屋上の扉が開き、顔を出した女の子。
心配そうに私の顔を見て、屋上に出てくる。
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