君と私の秘密の恋
彼の秘密
1
私は、社長さんに呼ばれ事務所に来ていた。
事務所にははじめてくる。
見上げたビルはまっすぐ空に伸びて、そびえ立っている。
楓くんは、今日いるんだろうか。
中に入ろうと歩き出すと、入り口付近にうろうろしている女の人を見かけた。
ソワソワと落ち着かない様子。
不思議に思いながらその人をちらっと見て中に行こうとするとその人の顔を見て足を止めた。
「KAEDE・・・?」
思わず口をついて出た言葉にハッとする。
違う。
KAEDEじゃない。
それはわかるけど、とても似ている。
まるで、KAEDEが歳を重ねた感じだ。
「あなた、KAEDEさんを知っているの?どこに行けば会えるの?」
「えっ?」
「会いたいの、どこに・・・」
その人は、私にすがるようにそう聞いてくる。
必死な様子に、私は戸惑う。
ファンなんだろうか。
それにしては・・・。