君と私の秘密の恋


「あの・・・」

「あ、ああ。ごめんね。・・・梨乃ちゃんが言っていた人、もしかしたら・・・」



戸惑う私に社長さんが説明しようとしてくれる。
躊躇うように止められた言葉に私は眉を顰める。




「・・・楓の生みの親かもしれないんだ」

「え・・・?生みの、親?」

「あいつは、生まれたばかりの頃に捨てられて、施設で育ったんだ」

「え・・・」

「施設を飛び出して、ふらついているところを、僕が見つけてね。面倒を見るようになった。楓がモデルをやってるのは面倒見ている俺のためでもあるんだ」




楓くんに、そんな過去が・・・。
知らなかった。




「女の姿でやってるのは、プライベートを護るためと・・・もう一つ理由がある」

「もう一つ?」

「あいつは、そうは言わないけどね」





楓くんが女の子としてモデルをする理由・・・。
それが、なんなのか・・・。
少し、わかってしまったかもしれない。





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