君と私の秘密の恋


「前に一度、酔っ払って話してたことがあるんだ。楓の母親に会った事があるのは、施設の人だけでさ。その人が、高校生になった楓を見て言ったんだって。お母さんに、似て来たって。楓を連れていたお母さんに似てるって」

「それじゃあ・・・」

「女の姿で出ることで、訴えたかったんじゃないかな。探したかったんじゃないかと思うんだ。人気になって、世間に出れば、母親の目にもとまるかもしれない」




見つけてほしくて。
お母さんを、探したくて。




「でも、楓にとっては、自分を捨てた憎い相手でもある。そのせいで、たくさん苦しんで、諦めてきたんだから」

「・・・そうですよね」

「僕は、たくさん苦しんで、泣く楓を見てきた。だから、楓には誰よりも幸せになってほしい。楓が会いたいというなら、その母親も見つけ出してやりたいとも思う。でも、そうじゃないなら、僕は全力で楓を護るよ。いくら、母親が会いたいと願っても」



社長さんは、誰よりも楓くんを想って。
それは、そう、まるで父親のように。


楓くんも、きっと社長さんに、お父さんへの感情のようなものを抱いている気がする。
2人が、気づいてきた絆だ。


楓くんの、気持ちは。




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