君と私の秘密の恋
2
楓くんは、エレベーターホールの前にあるガラス張りの部屋の中にいた。
そっと中に入り、楓くんに近寄る。
「楓くん・・・」
小さく声をかけると、俯いた顔をあげ私を見た。
傷ついた顔をしている。
胸が苦しくなって、どうしようもなくて。
私は正面から座っている楓くんの身体を抱きしめた。
「・・・っ」
「泣いても、いいよ。誰も見てないから。私も、見てない」
「・・・泣かねぇよ」
「うん。でも、少しの間、こうさせて。私が、こうしたいの」
楓くんは、弱音を吐かない。
きっと、ゆだねてくれることはないだろう。
だから。
私が楓くんに甘えるの。
私が、こうしたいからするの。
しばらくそうしていると、そっと楓くんの手が躊躇いがちに腰に回された。
少し震えた手。
ギュッと私の服を掴んだ。