君と私の秘密の恋
「ああ、いや。この子たちが言ってた?」
「はい。俺の親戚のまひろと、その友だちの梨乃ちゃんって言って。ありがとうございました」
「いいよ。近くで話をさせてやれなくて悪いね」
「いえ、十分ですよ。な、まひろ」
「はい!とても、素敵でした!」
私を置いてけぼりに話は進んでいく。
震えていた体もようやく落ち着いてきた。
まひろがそれに気づき、身体を離す。
安心したようにまひろは笑った。
「君、梨乃ちゃんだっけ?」
「・・・は、い」
顔は向けられない。
でも、ちゃんと返事しなくちゃ。
この人が、私がここに来ることを許可してくれたってことなんだ。
「ごめんね、怖がらせちゃって。気を付けて帰ってね」
「・・・すみません。助けてくれたのに・・・」
「ん、大丈夫」
優しい。
こういう時に思い知る。
私は、こういう本当の優しさまで拒んでしまう。