君と私の秘密の恋
ごめんなさい。
違うの。
私が弱いからいけないの。
私のせいなの。
社長さんは誰かに連絡を取っていて、しばらくしたら、大人の女の人が現れた。
「ああ、紹介するね。僕の秘書をしてくれている橘郁美(たちばないくみ)さんだよ。彼女が君に触ること、許してくれるかな?」
社長さんが紹介してくれた女性は、すらっと背が高く、ピシッとしたスーツを身に纏った綺麗な女の人だった。
私は震えながら小さく頷く。
「たまたま連れてきていてよかったよ」
「梨乃さん、大丈夫ですか?」
「・・・すみません・・・」
私は郁美さんに抱き起されベンチに座らせてもらう。
郁美さんにやさしく背中を撫でられ、次第に落ち着きを取り戻していく。
それでも、涙はポロポロと止まらずに。
でも今の涙は、怖い涙ではなかった。
申し訳ない、そんな思いからの涙だった。