君と私の秘密の恋



「梨乃ちゃん、これから少し時間あるかな?」

「・・・え」



少し落ち着いた私に社長さんが言った。
私は顔をあげ社長さんを見た。
社長さんは、優しく微笑んでいて少しホッとする。




「本当は家まで送っていきたいんだけど、少し時間が押していてね。2時間ほど付き合ってくれると送ってあげられるんだけど」

「・・・は?」



それに反応したのは、楓くんだった。
驚いた顔で社長さんを見た楓くんは、瞳で何かを訴えていた。
その訴えを、社長さんはひらりとかわして私を見た。




「どうかな?」

「え・・・あ、の、私・・・大丈夫で・・・す。一人で、帰れます」

「このような状況の梨乃さんを一人で帰せるわけがありません。その間は、私が片時も離れず側にいますので、ご安心ください」




郁美さんまでそう言って笑いかけてくれる。
時間が押しているってことは、とても大切な用事なんじゃ・・・。
それなのに、私がついていってもいいんだろうか。



「きっと、梨乃ちゃんも喜んでくれる場所だと思うんだけど」



社長さんはそう言って笑った。




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