君と私の秘密の恋
2
「梨乃ちゃん、こっちにおいで」
社長さんが呼びに来てくれたのは、少し経ってからだった。
社長さんに連れられ、私はとても広い部屋に入った。
それは、スタジオのようなところで、カメラやパソコン、セットが組まれていたりと初めて見る光景だった。
これから何が始まるんだろう。
「梨乃ちゃん、ここね。梨乃ちゃんの事は、スタッフには伝えているから、無闇に近づいてこないと思うから、安心して」
そう言われて、少し離れた場所に置かれたパイプ椅子に座った。
その隣には、郁美さんも座る。
なんの撮影が始まるんだろう。
社長さんの事務所の人が?
「お願いします」
静かな声が響いて一瞬場の空気がピリッとした。
その声に、顔を向けると入ってきたのは、KAEDEだった。
「え・・・」
紛れもなくKAEDEなのだ。
ウエーブがかった長い髪を靡かせ。
整った綺麗な顔と、すっと伸びた身体。