そしてピエロは笑う
「あー、今日は早苗んとこで朝食なんだ?なるほどなるほど」

その横を歩き、納得したかのように美樹は頷いた。

「私はてっきりそれの効果が出たんだと思ったのにな」

そう言って美樹が指差した先にあるのは、早苗のスクールバックにぶら下がっているピエロの人形だった。

それは、今ちょっと話題になっているおまじないグッズ。

満月の晩に、そのピエロに向かって願いを五回言って、それを誰にも触れさせず持っていると願いが叶うというどこにでもありそうなもの。

だが、急激に人気が出てきたアイドルが、そのグッズに人気アイドルになれるようにお願いしたら願いが叶ったと言い出した途端、いつ手に入るかわからない位ぐらいに売れ出したのだった。

「別にこれは親が買ってきたから…それにあいつの事なんて願ってないし」

そう言って美樹の目から隠すようにバッグを自分の胸へと抱きしめた。

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