そしてピエロは笑う
「なーんだ」

つまんなそうに美樹が呟き教室の中へと入っていく。

早苗も鞄を抱きしめたまま教室に入り、自分の席につく。

こんなもので願いが叶うわけない。

分かっていても、どうしても早苗は叶えたい願いがあった。

それはもちろん、幼馴染の陵の事。

ずっと小さい時から一緒だったせいもあるのか、それとも元々早苗の性格なのか自分でも分からないが、陵の前だと可愛くない態度をとってしまう。

本当は、陵に一人の女の子と見てほしい。

陵の特別になりたかった。

こんな事美樹にも恥ずかしくて言えないでいた。

口は悪くても、同性から見ても可愛い美樹。

きっと毎日早起きして髪をとかしたりしているだろう。

それに比べて自分はギリギリまで寝て洒落っ気ゼロ。


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