【短編】Love agains
 実際、弟を見てて思うのは、本当に不器用な子だってコト。

 我ながら不憫で仕方ない。



「小林さん、今夜どう?」


 終業時間がやってきたのを見計らって、職場の同僚・高橋くんが声をかけてきた。


 弟と同様、可もなく不可もなくってカンジだ。


 彼はくいっとお猪口を流し込むような仕草をすると、明るい笑顔を向けてきた。


 仕方ないなぁ、とため息を一つついた。


「いいわよ」



 町の小さな不動産会社の事務をしているあたしには、久しぶりの早めの帰りなんだけど、こういう時間も結構スキだったりする。



 グチったり本音でぶつかったりして、仲間と酒を飲む。


 なかなかイイモンよ?


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