【短編】Love agains
 春とはいえ、日も落ちればまだ寒さは健在だ。

少し小走りに、会社近くの行きつけの焼き鳥屋に二人で向かう。



「おじさん、またビールおかわり!」


 威勢のいい返事を受けて、あたしは上機嫌になる。


「そういえば弟さん、元気なの?」


 ジョッキに入ったビールを飲み干していたところだったから、ムセてしまった。


「…えっ?」


「ほら、少し前にうちらで弟さんの部屋探したじゃん」



 そういえばそんなこともあったっけ。

大好きなつくねをほおばりながら、少し前のことを思い出した。


 弟が好きな子のために始めた一人暮らし。
だけど、部屋探してあげたってのに、半年ほどで解約しちゃったんだよね。


 大屋さんにどんんだけ頭下げたと思ってんの!?

なんて、当初は思ったものだ。



 …ん?今日って…


「た…っ、高橋くん、ごめん!あたし帰らないと!!」

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