【短編】Love agains
 一瞬ストッキングで床を滑ったけど、靴を履く彼に追いついた。


「高橋くん、待って…っ」


 彼の腕に飛びつくようにつかまった。

背中しか向けない彼は、ひどく小さく見えた。


「…オレ、部屋によんでもらって嬉しかったのに…」


 消え入りそうな彼の声に胸が締め付けられる。



「ごめ…っ、っく」


 あたしも涙がこぼれた。

その声に彼も振り向いてくれた。



「あた、し…高橋くん、好きになっちゃったぁ…」


 子供みたいに泣いていた。


 いつも気合をいれてるマスカラもきっとぐしゃぐしゃだ。

だけどそれよりも、ただ一緒にいてほしいってキモチだけがあたしをつき動かす。



「行かないでぇ…っ」


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