【短編】Love agains
 部屋を出ると、あの三毛猫がいた。



 ……―にゃぁ。



 初めて会ったときより寂しそうに鳴くから、俺も久々に泣けたんだ。


 たった一週間で何がわかるんだろう。

でも過ごした時間は、たしかに俺たちにとってかけがえのないものになっていた。





 三毛猫は、俺が近寄ってもただ静かに俺を待ってくれた。


目元をぬぐってからしゃがみこみ、鍵についていた鈴を俺の革のブレスバンドに引っ掛けて、首にかけてやった。



 …チリン。


 寂しそうに鳴る鈴。




「いくぞ、コスズ」


 また言葉を理解したかのように、俺の後ついてくる三毛猫・コスズ。



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