すれ違い*Pure Love《1》
「高野!!」
思いっきり叫ぶと、高野は少し驚いたように振り返った。
「早飛…」
「あのさ……さっきはごめんな。自分のことでいっぱいいっぱいになっちまって。しかも高野にあたったりして…本当、悪ぃ。」
「謝んなよ…俺、すげぇ最低なのにさ……」
俺が謝ると、高野は苦しそうな顔をしてそう言った。
「えっ?」
意味もわからず間抜けな声を出した俺にくすっと笑うと、またすぐに真面目な顔に戻った。
「俺、これから先、お前に協力してやれないこともあるかもしれない。俺、そんないいヤツじゃねぇから。そんだけ。じゃあな。」
それだけ言うと高野は走って行ってしまった。
何を言いたかったのかいまいち理解できないまま、俺は高野の背中をただボーッと見送っていた。