すれ違い*Pure Love《1》
「よっ、早飛。」
いつにも増してハイテンションな陽太が手を振りながら近づいてきた。
「朝からテンション高っ……」
「何言ってんの。今日はバレンタインだぜ?持ちかえれねぇくらいチョコ貰っちゃったりして。ヘヘッ」
「はぁ…。まったく…」
何がヘヘッだ。
チョコなんて貰ったって大変なだけじゃん。
いつ食うんだよ?
持ちかえれねぇくらいって相当だぜ?
「早飛はすげぇモテるからなぁ。てかどんくらい貰うの?」
「さぁな。わかんねぇよ。そんなの大体数えたことねぇしな。」
「数える程貰うんだな。羨ましいよ、本当。俺なんか最高二個だぜ?あとは全部義理。」
そう言って膨れる陽太。
でも二個は全然いい方じゃねぇの?
ほとんどのヤツは貰えねぇわけだし。
「ま、本命から貰えなきゃ意味ねぇけどな。」
そう言うと陽太はニコッと笑って、先に走って行ってしまった。
「だな。」
俺は一人そう呟くと、ゆっくり歩きだした。